女子バレーボール部 井口 美紅
1部リーグ1年で降格。今年の秋は絶対に1部に返り咲く
女子バレーボール部 セッター
井口 美紅 健康福祉学群 3年
神奈川県立大和南高等学校出身
練習が厳しかった高校時代を過ごしてきた
「高校時代、どんな練習をしてきたの?」と聞かれてもどこから話していいか困るほど、厳しい練習をしていた。私がいた大和南高校は神奈川県下で常に1?2位を争うチームであった。監督は365日生徒と真剣に向き合ってくれる方で、あの時は鬼のように見えたけれど、今思えば、生徒のことを深く考えてくれるとてもいい監督だった。おかげで国体やインターハイ、春高バレーなどすべて出場し、最高成績は全国ベスト8だった。現在東レ?アローズで活躍している選手が通っていた下北沢成徳高校と対戦し、敗戦したのは今でも強く印象に残っている。自分たちの全ての力を出し切った結果なので、決して悔いはなかった。
高校時代はよく遠征をした。Vリーグ所属チームの体育館に他県の高校が集まり、試合や練習を行い、トップチームの練習風景を見学させてもらったりした。中学の選抜チームから高校までずっと一緒に練習してきた仲間は、関東リーグ1部の大学に進学することを望んでいたが、私はあえて2部にいた桜美林大学を目指した。私は将来に向けてバレーボールと勉強の両立を望んだからである。
バレーボールは大切。でも、勉強も、社会経験も大切という監督
高校時代の練習に比べると、桜美林大学の練習は厳しいものではなく、どちらかというと楽しいという気持ちの方が強かった。ただ、監督はバレーボールだけではなく、勉強に励み、空いた時間を利用してアルバイトやインターンシップなど社会経験をすることも大切なことと話してくれた。私は将来のための勉強と大好きなバレーボールの両立ができる環境でバレーボールをしたかったので、とてもうれしく感じた。
私の同期は個性の強い人が多い。自身の能力を活かし、仲間と競い合い、お互いを高め合いながらプレーできるのが一番の理想だと思う。だが、それぞれが自身の意見、意思をしっかりと持っているためなかなか上手くはいかず、自分たちで自分たちを苦しめていた時期もあった。そのため、一人ひとりの能力は高いはずが、プレー中に信頼関係が築けず、団体競技なのに個々で戦っているように見えるチームとなってしまった。上手くいかないことに意気消沈する選手もいた。そんななかコーチの指導を受け始めた時からずっと言われ続けている「思いやり」という一言が本当に大切なことだと気づかされた。「思いやりが足りないから、大事な場面で結果になって出てしまう。もっと、相手のことを思いやってプレーしてほしい」と何度も言われた。私のポジションはセッターであり、チームの良さを活かす重要な役割を担うポジションでもある。なるべく予想の付かないトスを駆使し、試合の流れをつくっていかなければならない。上級生がしたいバレーをよく理解し、同期の仲間と意思疎通を図り、後輩がやりやすい環境をつくりながら、ミスのないチームづくりにいやおうなしに立たされる立場を担っていった。
そもそも私たちは他の1部の強豪校ほど、内容の濃い練習ができていなかった。メンタルの弱さや技術の低さを抱えていた。練習こそ真剣に取り組むが、「だいたいここまで」という限界の線を知らぬ間に引いてしまっていたのかもしれない。「それならば、それを超えていこう」。2学年上の上級生たちは立ち上がり、本気で1部を目指す練習を監督にお願いし、そのなかで自分たちの欠点を補っていき、勝ちにこだわろうとみんなに呼び掛けた。
一生懸命に胸が躍る。限られた時間を全力で取り組む
ここまで読んだ方は誤解してしまうかもしれないが、私たちのチームは決して仲が悪いわけではない。むしろ反対で、互いの家に泊まったり、オフの日でも一緒に過ごしたり、新入生歓迎会や卒業生送別会などではBBQパーティーで大いに盛り上がる仲の良いチームである。プレー中の「思いやり」が足りないというのは、相手の能力を信頼していないというわけではない。むしろ相手のことを考えすぎて思ったことが素直に口にできない。その結果、チームが空回りしているのである。仲間との信頼関係を築いていくために、時には厳しく言い合いながら技術面やメンタル面の向上にむけて日々の練習に励んだ。
1部を目指すことを目標に掲げてからは、練習メニューががらりと変わった。高校時代の厳しさを思い出させるほど、限られた時間での練習は集中力を必要とした。一生懸命練習する時間は、やはり、どこか胸が躍り、心地よい。その結果、2年春の2部で優勝し、1部に昇格。練習の成果が見えたと思われた。しかし、秋のリーグでは、本気で日本一を目指している1部のチームと対戦し、私たちは1勝もすることもできなかった。2部との入替戦で勝利し、なんとか1部に残留したものの、前途多難という状態だった。私たちは何度も話し合い、どうしたら強くなれるか、アナリストの川端の分析に基づき、どう動いたら効率がよいかなど研究を重ねた。
そうして迎えた春の1部リーグ戦。それでも上位チームの壁は厚く、ついには入替戦でも負けてしまい、2部に降格してしまった。幸いにも、今の4年生を筆頭に2?3年生はその悔しさを経験している。大学でバレーボールを続けている今、自分次第で本気で取り組める、学生生活も充実できるという環境があるからこそ、自分たちの納得のいく結果にたどり着きたいと思っている。「勉強と両立しながら、一生懸命バレーボールに取り組み、1部で活躍する」それを実現することが、桜美林大学女子バレーボール部のこれからの姿だと思う。