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- 2025年度
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BM学群坂本ゼミ×キリン:店舗マーケティングとキリン商品提案
ビジネスマネジメント学群坂本雅明先生のゼミでは、経営戦略?マーケティングを学んでいます。2025年度の秋学期に、坂本ゼミに所属する3年生たちは、浅井隆平様(キリンホールディングス株式会社 人財戦略部 チームリーダー)のご協力のもとで、キリン商品のマーケティング案の立案に取り組みました。浅井様は現在は人財開発をご担当されていますが、入社以来長らく営業を担当されていました。また自らで立ち上げた新会社に出向していた時期もあり、経営についても造詣が深い方です。
与えられた課題は、「飲食店のマーケティングプランの策定とキリン商品の提案」です。かつては酒類の営業活動は義理人情の世界で、足繁く通って契約を取ることが多かったそうです。しかし、いまではそのような営業方法は通用しません。飲食店に改善提案をして信頼を得て、その提案を具現化する手段の1つとしてキリン商品を提案するというものが、標準的な営業プロセスだといいます。そのプロセスを体験するのが、今回のプロジェクトです。浅井様からは、新入社員に対する営業教育の資料やキリン商品の説明資料(対外的に開示可能なもののみ)をご提供いただきました。
キリンの営業活動ではお店の了解を得た上で訪問調査し、また売上データ等も見せていただくこともありますが、私たちの場合はそういうわけにはいきません。例えば家賃は周辺の相場から推定したり、月商はフェルミ推定を使うなど、合理的に推測するよう、坂本先生から指示されました。また、お店に迷惑をかけないよう、訪問しても通常の客として振る舞い、写真撮影や店員への質問はしないようにと強く言われました。
私たち学生は4グループに分かれて、9月17日から以下のプロセスで検討を進めました。なお、これはキリンの提案プロセスとは一致していません。浅井様にヒアリングをした坂本先生が、私たち向けに作ってくれたものです。
[1] 対象飲食店の調査
対象とする飲食店を決め、その店舗の基本情報(面積、席数、スタッフ数、営業時間、メニュー、客層や利用シーン、客単価?月商)および商圏情報(立地場所、人口動態、競合状況)を調査しました。まずは食べログやぐるなびなどのグルメレビューサイトで可能な限りの情報を収集し、不明点を確認するために飲食店を訪問しました。それでも分からない点は、論拠を明確にしたうえで推定しました。その上で、良い点と問題点を整理しました。
[2] 改善目標の設定
月商および損益分岐点月商を推定し、GAPを算出しました。月商は客数(席数×稼働率×回転数)×客単価で算出しました。一般的に家賃は売上の1割に抑えるべきという経費構造をもとに、推定した家賃の10倍を損益分岐点月商としまた。そしてそのGAPを埋めるための方針(客数増加or客単価向上)を定めるとともに、改善目標(目標客数or目標客単価)を設定しました。
[3] 店舗コンセプトの検討
目標を達成するためのマーケティングプランを検討しました。商圏情報やライバル店の特徴を考慮しながら、あるべき姿として、ターゲット層、利用シーン、ユニークセリングポイントを検討しました。さらにペルソナやポジショニング?マップで、より具体化しました。
[4] 改善策の検討
メニュー、価格帯、サービス、営業時間、外装?内装などについて、改善点を検討しました。特に重要となるのがメニューです。店舗コンセプトを逸脱することなく、キリン商品との親和性の高い料理やおつまみを考えました。
[5] プロモーション策の検討
お店に来てもらうためのプロモーション策、そしてキリン商品を注文してもらうためのインストア?プロモーション策を検討しました。カスタマージャーニーマップに倣って、「知る」(店の存在を知ってもらう)、「選ぶ」(ライバル店ではなく自店を選んでもらう)、「買う」(料理だけでなく、キリン商品も注文する)という段階に分けて、各段階で最適な媒体とコンテンツを考えました。
[6] 期待効果
改善策を導入した場合の客数と客単価を推定して、月商を算出しました。他方で、改善に必要なイニシャルコスト(便宜的に回収期間を2年として毎月の償却額を計算)およびランニングコストの増加分(食材費の増加額、追加的な人件費やプロモーション費用など)を見積もり、営業利益の増加額も推定しました。


こうした検討の結果、以下の4つの提案がなされました。
Aチーム:焼肉屋A店への高級路線化提案と、肉の風味を際立たせる紅茶ハイボールの提案
Bチーム:博多料理居酒屋B店への平日来店客数増加提案と、料理に合うビール提案
Cチーム:健康志向和食店C店への近隣病院からの導線構築提案と、特定健康食品ドリンクのセット販売提案
Dチーム:パン屋D店へのイートインスペース改善提案と、パンに合うソフトドリンクのドリンクバー提案
11月5日の最終発表では、対象とした飲食店の店主に対する提案という前提で、4チームの発表がなされました。浅井様にもお越しいただき、私どもの発表に対してコメントをしていただきました。
浅井様が強調されていたことは、徹底的なお客様理解が何よりも重要であり、その上でお客様の決断や判断に強い影響を与える提案を考えるということです。そうした観点から、学生ではなかなか思いつかないような具体的なアドバイスをいただきました。客単価アップのための低価格商品と高価格商品のミックス方法、キリン商品未導入店舗に取り扱っていただくための商品提案方法、相手を惹きつけるプレゼン方法など、ご本人の経験を踏まえた臨場感あふれるお話に聞き入ってしまいました。
坂本先生から、今回の演習の裏の意図の説明がありました。就職活動に役立てることです。先生いわく、興味のある企業の事業内容や方針を徹底理解し、自分という商品を提案すること、つまり自分の様々な持ち味の中からその企業にフィットするものを見つけ、自分を採用することによる企業側のメリットを説明することが就職活動であり、その会社の商品が好きだとか入社したいという気持ちは誰よりも強いなどという思いを強く訴える場ではないということです。
振りかえると、今回のプロジェクトでは多くの困難に直面しました。店舗の問題点には気づくことはできても、改善方法はなかなか思い浮かびませんでした、また最終的に効果を金額換算する際には、ある施策を導入するとオペレーションコストがどの程度アップするのかを見積もらなければならず、夜遅くまでシミュレーションすることになってしまいました。ただ、メンバー全員がこうしてみたいという意見を出し合い、妥協することなく話し合った結果、最終的には納得できる発表になりました。これは私たちにとって何ものにも代え難い経験であり、社会人になって必ず役立つものと思います。
貴重な機会を与えてくださったキリンの浅井様に感謝いたします。また、興味深い課題を与えてくださり、発表前チェックでは多くの改善課題をいただいた坂本先生にも、感謝の気持ちでいっぱいです。
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