この入学式は、大学として皆さんを温かく迎える儀式であると同時に、皆さんにとって大きな機会、転機となると思っています。では、この入学式を大きな転機にするためはどうしたらよいでしょうか。

①自分の理想を掲げること。
どんな自分になりたいのか、どんなことを達成してみたいのか、世の中をどんな環境にしたいのか。理想とは、夢、目的、目標、実現したいこと、到達したいこと、変えたいこと。理想と現実のギャップを意識し、それを埋めるためには何をすべきなのか、どうやったらその理想にたどり着くことができるのか、を考えることで、自分自身がやるべきこと、取り組むべきことに意味や意義、生きがいややりがいを感じることができ、人生を充実させることができます。

②大学で修める学術が役に立つと信じること。
自転車に初めて乗ることができた時の感覚やピアノで一曲通して弾くことができた時の感覚を思い出してみてください。どちらも面白さや楽しさを感じるまでに、助走期間が必要です。自転車やピアノと同じように、大学の授業を中心とした学修もおもしろいと感じるまで少し時間がかかりますが、あきらめずに助走期間を乗り越えることで、知識や技能を自由に操ることができるようになります。自分の理想の実現のために、自身の興味や関心に合わせて学術を学び、それを自由自在に使うイメージです。

③新たな人との出会い
大学では、学内外問わず多くの人と交流する機会があります。個人としてできることに限界があっても、他者と協働することによってできることもたくさんあり、面白さや楽しさを経験することができます。芸術文化活動やスポーツ活動などグループや団体として目的を持った活動、個々人が持てる力を出し合いながらなにかを成し遂げる活動を通じて、人間関係やコミュニケーションを学ぶことができます。新たな出会いの中で、自分にはないものを発見しながら、協働して、理想を現実にする活動も体験してください。

これらのことを意識して大学生活を送っていくと、自分自身がかなり変わります。内面や知識、技能だけでなく、考え方、価値観、世界観や人生観も変わります。変化することを恐れず、成長を楽しみ、自分自身をパワーアップしましょう。

高い基準を掲げ、変化に柔軟に対応し、人に対しては多様性や異文化を尊重し寛容で、しっかりした強い精神的基盤を持っていて、理想を達成するまであきらめない。そのような人物像が桜美林にはあります。大切にしているのは成功とか失敗など結果に対して一喜一憂することではなく、生きがいとかやりがいなどを感じ取る、いわば自分を主人公とする物語です。物語における主人公としての自分のミッションは何か？どんなことに取り組むのか？どんな理想を実現したいのか？私は数多くの物語をこの桜美林大学で見てきましたが、みなさんにもぜひ、自分の物語を紡いでほしいと思っています。