陸上競技部 駅伝チーム 永瀬 孝
学連選抜で選ばれながらも箱根路を走れなかった去年。今年は全員で
陸上競技部 駅伝チーム
永瀬 孝 健康福祉学群 3年
岐阜県立土岐商業高等学校出身
関東の大学限定の箱根駅伝より地元の大学から全国大会に出場しようと考えていた
私がいた土岐商業高校、そして、中京学院大学付属中京高校と、岐阜県の長距離レベルはとても高かった。優秀な先輩が大勢いて、私も当然先輩が進んだ地元の大学に進学しようと考えていた。そんな時、高校の中澤正仁監督に桜美林大学はどうだと勧められた。山梨学院大学出身である中澤監督は、桜美林大学の真也加監督の先輩にあたり、また、高校3年の高橋尚子さんを指導し、中距離選手の走りをそのままマラソンに生かせるように引き出した指導でも有名な監督だった。それでも私は、箱根駅伝はあくまでも関東大会で、地元の大学から全国大会に出場する方がいいと思っていた。「お前は関東で競い合った方がきっと伸びる」。そう先生に強く勧められ、中澤監督が全幅の信頼を寄せる真也加監督が率いる桜美林大学を選んだ。後に箱根駅伝を見学した時、鳥肌が立つほど大きな大会であることを実感し、中澤監督にあらためて感謝することとなった。
桜美林大学の練習は確かにきつかった。箱根駅伝を本気で目指す大学にふさわしい練習メニューだった。日頃の練習もそうだが、合宿はそれ以上だった。自分で、自分の到達したい目標タイムを設定し、それを目指して走る。自分との闘いに勝つか負けるかを鍛えていく。ここで得られるのは体力よりも自信だ。このペースで走っても俺は絶対崩れないという自信だ。その自信を得るために、私は何度も自分に負けては挑戦する日々が続いた。
ラスト3kmで足がつった箱根駅伝予選会。それでも好タイムが出た
タイムが伸び悩んでいた2年生の夏、桜美林大学で初めて箱根駅伝を走り、当時キャプテンだった田部幹也さんに相談した。「どうしたらタイムが伸びますか」。そうしたら単純で明快な答えが返ってきた。「お前、インターバルのジョグのとき、本気で休んでいるだろ。それではダメなんだ」。インターバルの練習というのは、400mをハイペースで走り、その後、ジョグで体を落ち着かせ、また、400mをハイペースで走ることを繰り返す練習である。田部さんが言うには、このジョグを休む時間とするか、ハイペースに劣らない走りをするかで、スピードの付き方が違うというアドバイスだ。そういえば、私は一呼吸置く感じで流していた。そういう練習メニューだと勝手に思い込んでいた。そこをハイペースで走ろうとする努力が自信につながるのだと田部さんが教えてくれた。休むクセをつくると、いざという勝負でペースを落としてしまいかねない。田部さんのアドバイスを実行するべく、私は400mのインターバルで休まないという自らを追い込む練習に取り組んだ。終わったと思っても終わらない心の負荷を鍛える練習法だ。
真也加監督はケニアの選手が強いのはクロスカントリーのような道を走って練習しているからだと話してくれた。野山の小さな凹凸による障害、それが小さなアクシデントとなり心へ負担をかける。実際に走っている時、横にいた選手が急にペースを上げたり下げたり、精神的に揺さぶられることがある。そんな心の負担に強くなるよう、鍛えることも大切で、レース中の小さなアクシデントに気持ちがやられてはいけない。
2年生の秋の箱根駅伝予選会には、自信を持って望むことができた。1時間5分を切る自信もあったし、学生連合チームに選ばれる自信も持っていた。スタート後、私はプラン通りの位置について走っていた。ところが、ラスト3kmのところで、突如足がつってしまった。ハーフマラソンで足がつることは初めての経験だった。あと3km。下り坂の2㎞をだましだまし走ったら、ラスト1kmはどうにでもなれという気分だった。ゴールした時、私はそれでも学生連合チームに選ばれるタイムを記録し、自分に自信が持てる大会となった。ただ、学生連合チームに選ばれたのは16人中15番目のタイム。この中からさらに10000mのタイムトライアルがあり、そのタイムの合計で箱根駅伝に出場できる10人が選ばれる。私は、候補止まりで2年生の秋を終えた。
3年生でも、自分の役割を知り、チームを引っ張っていこうとする自覚が芽生えた
入学当初は、5000m15分を切れず、同期の中でも3~4番目のタイムに過ぎなかった。初めて20㎞を走った時は散々なタイムで陸上を辞めたいほどひどく落ち込んだ。高校時代の仲間に「お前は全日本に出ろ、俺は箱根に出る」と意気込んだ約束が遠のく思いだった。それが、監督に恵まれ、キャプテンや仲間に恵まれ、また、環境にも恵まれ、チームを代表する選手として成長できた。今年は、4年生のレダマ?キサイサ先輩が最後の年。トップで走り続ける選手がいるうちに箱根駅伝を目指したい。私は学年こそ3年であるが、チームを引っ張っていく選手として役割を果たすように、宮崎キャプテンにも促されている。学年を超えて、チームをいい方向に進めていこうとするこのチームならではの良さだ。1km3分で走るスピードを鍛える練習では常に先頭に立ち、チームを引っ張っていけるよう心掛けている。
ミーティングでは先輩や監督からのアドバイスについてみんなで話し合い、その中から自分に合っている練習法を探り、考えていく。自分で納得できなければやらされている練習になってしまうからだ。主務の後藤先輩をはじめ、マネージャーが一人ひとりの練習をサポートしながら、箱根を目指せるチームにしようと一丸となっている。もし、これを読んだ高校生のランナーがいたら、大学で飛躍的に成長したいと考えているなら、ぜひ、桜美林大学を選んでほしいと思う。