女子バレーボール部 アナリスト 川端 涼花
アナリストとしてチームの弱点を補い、1部リーグ完全復活を目指す
女子バレーボール部 アナリスト
川端 涼花 リベラルアーツ学群 4年
神奈川県立上溝南高等学校出身
心理学を学び、バレーボールができる大学に行きたかった
私が学んでいた上溝南高校はバレーボールが弱かった。県大会に行けるかどうかくらいのレベル。しかし、中学までは厳しいバレーボールの練習をしてきた経験もあり、大学であらためてバレーボールに打ち込んでみたかった。大学では、人の心理に深く関心があったので心理学を専攻したかった。詳しく心理学の内容を知っていたわけではないが、統計学を用いて心を科学することに興味があり、将来、どの分野に進んだとしても、人を理解し、組織を理解する上で心理学を学んでおくことは、とても役に立つと思えた。
桜美林大学は一般の学生もバレーボール部に入部することができる。全国から集まってくる優秀な選手たちに交じりながら、本当に上手いバレーボールを体験してみたい。私は胸が躍る思いだった。実際、練習に参加してみると、春高バレーなどで名前が知られている高校の出身者が多くいた。思っていたよりも一流だった。2年の時に井口が入ってきたが、どこか見覚えがあると思っていたら、神奈川県の高校のスポーツを特集する雑誌「Standard神奈川」の表紙に注目選手として載っていたことを思い出した。桜美林大学の女子バレーボール部は、高校まではハードな練習を耐え抜いてきた一流選手が多い。しかも、大学では将来の就職を考え、勉強とバレーボールが両立できる環境を選んで入学する学生が多いと感じている。
ポテンシャルの高い学生たちは、黙っていても上を目指したくなる
入学当時は、高校時代にあまり激しく練習してこなかったということもあり、みんなに付いていくのがやっとだった。ちょうど、この頃は桜美林大学の女子バレーボール部の強化が始まって間もない時期にあたり、1部を狙う本格的な練習がまだ始まっていなかった。ポテンシャルのある学生たちは自分の能力を少し持て余していた。そうしているうちに、1学年上の先輩たちが立ち上がり、みんなを集めミーティングが行われた。「1部リーグを本気で目指したい。本気で勝ちにこだわってやって行きたい」という内容だった。本来、ポテンシャルの高い学生たち。「よし目指そう」と心が一つになった。その日から、目の色が変わったように練習が厳しくなった。しかし、学生たちが考え、望んだこと。私も限界に挑戦する機会に恵まれた思いでむしろ楽しかった。
先輩たちが4年生になり、私たちの代が3年生の春の2部リーグで優勝し、入替戦も勝ち、秋のリーグ戦を1部で戦うことができた。1部リーグではなかなか勝てず最下位。それでも入れ替え戦で勝利し、なんとか1部には留まったものの、今年の春には入替戦も負けてしまい2部に降格してしまった。
この頃、私はチームに貢献しようと、アナリストの役目を担っていた。試合に出ることが少なくなっていた私は、みんなをサポートするためにもチームの戦力の分析や、相手チームの弱点を探る研究を始めていた。
「Data Volley」のソフトを使って分析。むしろ、その方が忙しい日々
「Data Volley」はバレーボールの試合を分析するソフトウエアで、「Data Video」の映像を取り組み、「Data Volley」とリンクさせていくことで、統計分析機能とビデオ分析機能が同期。どの選手がどのような攻撃で一番多く点を決めているか、どのようなクセを持っているかなど、戦術を映像でも解析できる画期的なソフトウエアである。イタリアやアメリカのチームが使い始め、現在は、日本のナショナルチーム、大学の1部リーグなどで活用されている。
トップレベルのアナリストになると、試合の経過ごとにどのような作戦に切り替えていけば良いかなど、監督やコーチが瞬時に判断するデータを提供することができるが、まだ、私たちのレベルではそこまでのリアルタイムな対応ができていない。ただ、背番号1番の人がサーブをした場合「1S」と入力するが、「背番号1番のジャンプサーブが1番エリアから5番エリアに飛び、相手7番が正確なレシーブを返した」などと詳細に入力することによって、より精度が高まっていく。
練習や試合で入力できなかったデータを家に持ち帰り、再入力したり、その結果を分析していくと、ある選手は気づかないうちに右のコーナーを狙い過ぎているとか、ローテーションが変更すると4番エリアに空間ができているなど、個々の個性やチームのクセが浮き彫りになり、とても役立つ。私は多くの時間を分析にかけ、少しでもチームに役立つ情報を提供しようと心掛けた。誰かのために何かをする。それは時間がかかっても有意義で無駄な時間にはならない。むしろ、分析に費やす忙しい時間こそ、充実した時間として楽しんでいる。
もうすぐ秋のリーグが始まる。分析結果を活かしながら、チームの弱点を克服したチームがどこまで活躍できるか、今から楽しみである。