賈 裕彬(ガ ユビン)さん
リベラルアーツ学群
心理学プログラム
4年生
4年生になると、将来の夢がより具体的になり、そのための活動も活発になります。座談会第5回は、異なる学群の4年生3人が、それぞれの将来の夢について語り、桜美林の環境や大学生活を語り合ってもらいました。公認心理師、保育士、パイロットと全く異なる世界でも、コミュニケーションに共通して大切なのは「言葉以外のコミュニケーション」や「臨機応変さ」だそうです。どんなタイプの夢でも、実現のための後押しをする桜美林の魅力も語ってくれています。
賈 裕彬(ガ ユビン)さん
リベラルアーツ学群
心理学プログラム
4年生
杉山 昇さん
健康福祉学群
保育学専攻
4年生
竹原 悠人さん
航空学群フライト?
オペレーションコース
4年生
賈:リベラルアーツ学群(LA学群)4年生、心理学プログラムを専攻している賈 裕彬(ガ ユビン)と申します。今は、公認心理師という心理カウンセラーの国家資格を取得するために勉強しています。
杉山:杉山昇といいます。健康福祉学群保育学専攻の4年生で、幼稚園教諭の免許と保育士資格を取得するために勉強しています。
竹原:航空学群フライト?オペレーションコース4年の竹原悠人と申します。今は大学で取れるパイロットになるためのライセンスは全て取り終わって、これから就活を頑張ろうと思っています。
杉山:空が飛べるんですね!
賈:すごい!じゃあいつか、空港で会えるってことですね(笑)
竹原:是非乗ってください(笑)
竹原:航空学群のある多摩キャンパスは小さく、私の学年は100人ちょっとしかいなくて、教授との距離もすごく近くて話しやすいです。僕が所属するフライト?オペレーションコースは、キャンパスの横に寮があって、1年生の時からずっと寮生活。家族と過ごすよりも長い時間過ごしているので、みんなめちゃくちゃ仲がいいです。
賈:町田キャンパスには、私が所属しているLA学群と、健康福祉学群やグローバル?コミュニケーション学群の学生が学んでいます。日本人の学生だけじゃなくて、いろいろな国からの留学生との交流も活発です。
LA学群は1、2年生の時は主に基礎的な授業を履修して、3年生から専攻に分かれます。私は人文領域の心理学をメジャーに、マイナーで多文化共生プログラムに取り組んでいて、いろんな学問を通じて新しい自分の考えや知識を学ぶことができます。
杉山:町田キャンパスはいろんな建物があって、学生が教室や施設を借りられるんですよ。映画の上映会ができたり、サレンバーガー館にステージがある教室があって、そこでイベントを行うことができたり、学ぶ場所としても面白いですし、いろんな活動ができる、イベントとかも楽しいキャンパスです。
健康福祉学群は、福祉に関することや健康に関することが学べる学群です。僕は保育なので、子どものことや、心理学もちょっとやったり、健康福祉学群内の他の授業をとって高齢者のことについて学んだりしています。
賈:そういえば、町田キャンパスでは別の学群と授業が重なることもあるんですよね。心理学プログラムにも健康福祉学群の方が来て同じ授業を受けています。
竹原:なんか学群を超えて交流できるのって、すごく羨ましいなあ。航空だとカリキュラムが決まっていてそういうのはないです。
杉山:子どもが好きで、保育に携わる仕事をしたいと思っています。実習で保育園と幼稚園、それから障がい者の入所施設に行ってみたら、施設の方はただ子どもと遊んでいるんじゃなくて、遊びながらいろいろ気にかけたり、子どもの成長のためにどう動こうかとかずっと考えて仕事をされたりしていて、思っていたよりも面白い仕事だなって思いました。今は保育の資格を取って、それを活かせるような仕事に就きたいなって考えています。
賈:私は公認心理師という資格を取るのが目標です。国家資格で大学院の修士が必須なので、そこからさらに1年くらい勉強をして合格したら就職です。就職も日本でしようと考えています。
幼い頃から家族や友達など周りに精神疾患を持っている方がいたり、私自身も学校でいじめとかを経験して心的問題を抱えていた時期があったので、そこから公認心理師を目指すようになりました。
今のゼミの先生が、医療支援のチームにいたので、私も将来先生の弟子として災害支援や、外国人のうまく日本語が伝えられない人にカウンセリングできる心理師を目指しています。
竹原:一番日本に来てびっくりしたことって何でしたか?文化の違いですか?
賈:そうですねえ。韓国人は直接的にものを言う文化があって、日本に来た最初は良かれと思って言ったら、日本人の先輩に「ユビンちゃん、日本ではそういうふうには言わないよ」って教えられました。それで、日本には他人の考えを尊重してあげるという文化があるんだなって。あと先生と学生の上下関係があまりないですね。先生から「一緒にカフェ行かない?」って誘ってくださって、いろいろ話を聞いていただいて、やっぱり、人って文化とか背景にかかわらず心で通じることがあるんだなと思っています。
竹原:僕の将来の目標は、まずは航空会社に就職して副操縦士になることです。ちっちゃい頃から乗り物が好きで、中でも空を飛ぶって非日常的ですごくワクワクして、将来は自分で飛行機飛ばしたいなって思ってこの大学に入りました。実際に入ってみると、上空では想像以上にやることや考えなきゃいけないことが多くて、今はまだ飛ばすことで精一杯になってしまうことがあるんですけど、将来はもっと臨機応変に対応できる力とか、これからお客様を乗せて飛ぶためにもっと勉強を頑張らなくちゃいけないなと思っています。
杉山:同じルートでも天候が違ったらまた考えることも違ってくるだろうし、でも時間通りに行かなきゃいけないし、結構大変そうだよね。
竹原:そう。同じフライトって二度とないんですよ。同じルートでも天気は毎回違うし、周りを飛んでいる飛行機の状況も全然違うので、基本的なことが一緒だけど、プラスアルファで考えなきゃいけないことが毎回変わります。
賈:臨機応変っていうのは、心理師にも言える部分があります。マニュアル通りに行かないことってあるじゃないですか。そこから自分には何ができるか判断して最適な支援をするように努めることは共通だと思いました。
杉山:保育も近いところあるかな。この間、責任実習っていう、先生の代わりに一日子どもたちを見るのをやったんですけど、事前に予想される子どもの姿をいっぱい実習ノートに書き出したんだけど、子どもの行動はそれを超えていて、どれだけ想定してもしきれない部分がある。その場で判断して動かなきゃいけないっていうのはありますね。
竹原:僕の大学生活は、やらないといけないことに精一杯取り組んできたってイメージです。
1年生の夏休みから航空無線通信士という資格を取って、春休みにはアメリカの飛行訓練所との英語面接に合格しないといけなくて。それから2年生の春学期終了までに事業用操縦士と計器飛行証明の学科試験に合格。2年生の秋学期からはアメリカのアリゾナ州フェニックスに行って飛行訓練をしてアメリカのライセンス(FAA自家用操縦士免許?FAA計器飛行証明?FAA事業用操縦士免許)を取得。3年生の秋に帰国して、冬から福島空港に行って日本でお客様を乗せて飛ぶためのライセンス(JCAB事業用操縦士技能証明)、4年生の4月から6月までは鹿児島空港で雲の中とかを飛ぶのに必要なライセンス(JCAB計器飛行証明)を取って帰ってきました。
賈:国際交流会で日韓交流に取り組んだり、日本人の先輩たちとの勉強会もあって、みんなでクリスマスパーティーを開催をしたり、お互いに韓国とか日本のお菓子持ってきて交換するイベントもしました。3年生になってからちゃんと勉強したり試験に取り組んだけど、1、2年生の時は割と自由な感じで、いろんな学生生活を味わっていました。
杉山:竹原さんには申し訳ないんですけど、保育学専攻は実習に行くのが3年生からなので、1、2年生の時は比較的余裕があってLA学群の授業とか好きな授業を取れたりします。先生が出すメールや実習支援センターの張り紙を見て、ボランティアに行っていました。例えば高齢者のスマホ相談の教室とか、地域の子どもたちが来て遊ぶイベントとか。あとはアカペラ部に入っているので、そこで歌ったり。
素敵な出会いがあったんです。高齢者支援センターでスマホ相談をしている時に90歳のおじいちゃんと出会って、月一くらいでお宅にお邪魔してお話しをしたり、一緒に英語の勉強をしたりとかして、一昨年に僕がアカペラの発表があるって言ったら、普段ほとんど外出しないのにわざわざ来てくださったんです。その方は残念ながら去年亡くなってしまったんですけど、そういう外に出ないとなかったご縁があってすごく嬉しかったです。
賈:自ら動くこともあるけど、学校がちゃんと支えてくれる感覚があります。特に一生懸命に取り組んでいる学生たちは、全力で支えようという雰囲気がありますね。私もちょっと特別な出会いがあったんですけど、日本に来た時に80歳のライティングサポートセンターの先生と知り合ったんですね。その先生が私が寂しがっているのを知って、他の会社で勤めているフランス人の方を紹介してくれて、その方とは今でも町田で一緒にご飯食べに行ったり、日本の生活について悩みを話し合ったりしています。桜美林大学には、サポートが沢山あるんだなって思います。
竹原:学校がいろんなものを用意してくれる上に、積極的に動く学生が多いと思います。
賈:私の心理学プログラムも、みんな一生懸命取り組んでいて、例えば実習に入る前に福祉機関に自らボランティアに行ってデイサービスとか障がい者の支援センターに通っている人もいて、すごく驚きます。
杉山:そうですね。教育とか福祉とか人と関わる職を目指す学生は、授業も主体的に受けています。
保育学専攻は女性比率が高くて、最初はちょっと戸惑ったんですが、保育の仕事って就職したら女性の比率の方が高いので、女性と関わることが難なくできるようになりました。
杉山:子どもとのコミュニケーションで大人と大きく違うのは、言葉が話せなかったり、話せるけれど拙くって伝えきれなかったりすることです。例えば、折り紙を僕に折って欲しいと言ってくる子がいて、本当は折れるけど自分はまだ完璧に折れないから綺麗に仕上げて欲しいのかもしれないし、もしかしたら一緒に折りたいっていう意味で言っているかもしれない。赤ちゃんだったらそもそも話せないですし、言葉の裏や、言語無しでも相手が何を考えているのかをすごく考えます。
賈:すごく共感できる話ですね。
心理学の領域では、私が支援者にもなり得るし、逆に支援される側にもなり得るから、日常のコミュニケーション全てが練習だと思っています。特に共感できたのが非言語の話で、ある人がちょっと落ち込んでいるなと思ったら、会話だけでなく気持ちを汲み取らなくちゃいけないなって思っています。
竹原:僕は信頼を築けるように意識しています。一緒に飛行機を飛ばす仲間が不安を感じないように、この人となら安心して一緒に飛べるって思ってもらえるような信頼関係を築くことが必要不可欠だと思います。
賈:留学生の立場として、相手の価値観を受け入ることを意識しています。実際にカウンセラーになって、国籍とかその背景を超えて、人としてどのような考えを持っているのかをよく聞いたり、逆に自分が話すよりはちゃんと本音を聞いてみることも意識しています。
賈:やっぱり先生方がちゃんと学生に向き合おうという、関わり方がすごく魅力だと思います。1年生の留学生の基礎授業の時から、単に日本語を習うんじゃなくて、どう勉強するかの計画を話し合ったり、レポートや課題に取り組む時にディスカッションしたりすることが多かったです。
杉山:学生が「こうしたい」と考えたことに、先生方が向き合ってくださって、それを実現できる場があります。
保育フェアっていう地域の子どもたちを桜美林大学に呼ぶイベントがあるんですけど、僕が先生に劇をやりたいって言ったら、じゃあやろうよって言ってくれて、学生主体で子どもたちの前で音楽とダンスとアカペラとか混ざったものを披露したんです。既存の学びの枠にとらわれず、自分で学びを作っていける場があって、それがコミュ力の育ちにつながっていくのかなと思います。
竹原:先生との距離が結構近くて、特徴的なのはフライト?シミュレーター(FTD)を使った授業で、学生2人と先生1人で行うんですけど、他の学群ではここまで少人数の授業ってあんまりないんじゃないかなと思います。あとは、訓練以外でも同期と集まって自分のフライトの経験というのを共有したりするんです。そういう時に自分の失敗や成功の経験を工夫して分かりやすく、その時の状況をみんなが想像できるように話したりとか、そういうこともコミュ力が育つことにつながるのかなと思います。
賈:一方的に話を聞く授業が意外と少ないですね。先生がテーマを提示したら、それに対してグループとしてどう思うのかをまとめて発表する。そういうのが多かったです。
杉山:保育でも、子ども役と先生役に分かれて行う体験的な学びがあります。何人かのグループで、子ども役の学生たちがスムーズに遊べるようにするにはどうしようって一緒に話し合ったり、実際の保育現場はこんな感じかなと想像したり、先生になりきったりとか、学びを通じて人前に出て胸を張って何かをする機会が自然とできるので、ちょっとずつ自信がついてくるんじゃないかと思います。
賈:私は外国人として、やっぱり日本人に比べたらまだニュアンスとか、ずれる部分があると思うんですけど、
一同:いやいや
賈:そうですか(笑)
どうしたら自分が思っていることをうまく説明できるのかが課題で、最初は日本語の語彙とか単語をたくさん知っていればOKって思ったんですけど全く違ったんですね。雰囲気やニュアンスも大事。自分にとっても優しい、分かりやすい日本語を使って支援に活かすことが、コミュニケーション能力を高める方法だなとは思っています。
杉山:僕はN高っていう高校に通っていたんですが、あまり挑戦できずにいて、探究学習で全国1位が取れてすごく嬉しかったこともあるんですけど、高校にはもっとすごい人がいっぱいいて。自分ももっと頑張ろうと思って大学に来ました。
大学では機会があれば全部挑戦してきたので、最初の頃は自信がなかったり、うまくできないこととかもいっぱいあったけど、ちょっとずつ成長して、今は経験が自信になって、高校生の時よりも自信を持てているし、これからもきっといいものを作っていけるなって感じられるようになりました。
竹原:自分は高校時代からコミュニケーションが苦手っていう意識はなかったんですけど、大学に入って訓練とか授業を通じてさらに成長できたって思います。今までだったら意見を言うことをためらう場面もあったんですけど、飛行機を飛ばす上で安全が絶対なので、今は何かおかしいと思ったら躊躇せずに言うようになりました。もちろん協調性を大事にしながら、言うべきことは言う力が身についたかなって思います。
杉山:命に直結しますもんね。
賈:韓国の場合、みんないい大学に入らなきゃいけないとか、いい会社に勤めなきゃいけないという意識が強くて、友達みんなが競争相手みたいなところがありました。それで私は劣っていて恥ずかしいと思ったこともあったんです。でも桜美林に来たら、いろんな人が勉強だけじゃなくて、学会の活動や委員会とか、サークルに取り組んで、自分にできることを一生懸命にしていて、誰かの上に立てなくても、自分なりにできることがあればいいんだって、居心地の良い自分でいられる感覚になりました。
過去の自分と今の自分が話してみたら、だいぶ違うかもしれないです。