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焦る必要はない。
自分なりの武器をつくろう

芸術文化学群 卒業生
ダンサー俳優。振付?演出家。モデル。踏手。

神田 初音ファレル
(かんだ しょーんふぁれる) さん

表現において、仮面は必要ない

アーティストとしての原体験は幼少期にさかのぼります。私の出身地である静岡県浜松市で、小学校から高校生までが参加する「こどもミュージカル」という取り組みが行われていました。プロの演出家や作曲家、オーケストラの皆さんと一緒に舞台を完成させ、2,000席を超える大ホールで本番を迎えます。私は小学生のときから計3回出演し、表現することの楽しさに気付くことができました。

私は、父がアメリカ人で母が日本人という、いわゆるミックスルーツです。周りからは「異質」なものとしてみられることが多く、他者とのコミュニケーションに苦手意識を感じていました。しかし表現の場では、誰しもが平等に扱われます。パフォーマンスが良ければ賞賛されるし、悪ければ失笑される。仮面をかぶる必要がなく、ありのままの自分でいられることに居心地の良さを感じ、もっと表現について学びたいと思うようになりました。

「未確認生命体」からのスタート

「群読音楽劇 銀河鉄道の夜」振付?ダンサーとして参加

桜美林大学に入学したのは、オープンキャンパスで木佐貫邦子先生の言葉が印象的だったからです。「この大学には色々な人が集まってくるが、中には未確認生命体もいる。それで良いんだ」と語りかけてくれたんです。「こどもミュージカル」で演技をした経験はあれど、具体的に何をやるべきか分かっていなかった私に、「誰でも、どんなことにでも挑戦していい」と寄り添ってくれました。

大学入学後は学びの連続です。「この人には絶対に敵わない」と思うこともありました。ただ、コンテンポラリーダンス自体が初めてだったこともあり、焦る気持ちよりも「全てを取り入れるんだ」とがむしゃらな日々を送っていましたね。

私は現在、ダンサーだけでなく、俳優や振付家、演出家、モデル、舞踏手としての活動も行っています。今年は「かながわパフォーミングアーツアワード2024 ファイナル」でグランプリを受賞することができ、少しずつ活動の幅を広げることができています。常に意識しているのは、自分に何ができるかを見つけることです。糸口を選んだら、とにかく技を磨き上げていきます。他人と比べて才能や能力が劣っていたとしても、「指先の動作の美しさなら誰にも負けない」というように、私なりの“武器”をつくれるよう努力しています。

求道すでに道である

私は表現活動を通じて、平和への希求や人々が相互理解できる社会の実現を目指しています。国内外で起こっている様々な問題について、私なりに考えていることを表現に込め、幅広い世代に向けて芸術の輪を広げる活動をしていきたいです。

「求道すでに道である」という宮沢賢治の言葉があります。どこかにあるはずの道を探し続けていたら、きっと自分の足元に道は拓けているという意味です。未来は何が起こるか分かりませんが、幸い私には、ミッションを共有できる仲間がいます。今やるべきことをしっかり積み重ね、私なりの表現を見つけていけたらと思います。

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「かながわパフォーミングアーツアワード2024」グランプリ受賞!

2024年3月に行われた神奈川県が主催する「かながわパフォーミングアーツアワード2024」で、神田さんの作品「懺肉祭?希求夜想曲Ver.~」がグランプリを受賞しました。この作品は、昨年暮れに亡くなった父親の出自を起点に、現在イスラエルとパレスチナの間で起きている悲劇の愚かさを問うもの。
「個人の歴史と世界の歴史が交差する瞬間、私たちは未来を切り拓く力を持つ。希望を見つけるために、今こそその力を解き放つ。目を閉じることで、現実から逃れるのではなく、目を開いて、現実と向き合う。その先に、希望が見えるはず。こうして、初演である昨年の7月から私の希望を見つける旅が始まりました。」この神田さんの語りで始まる物語は、繰り返される戦争の愚かさ、目まぐるしい変化が訪れているように見えて変わっていない世界に対し、平和を強く願い、今の世の中に問題提起します。「たとえこの世代で叶わなかったとしても、長い夜が終わり、太陽は登ってくることを諦めたくない。芸術は生活に直結しないかもしれないが、人生を潤す為には、手を取り合う為には、生きる為には必要不可欠だ。ただ、これだけは言える。平和の土地でしか出来ない行為なのかもしれない。踊りは願いであるから。」
神田さんは受賞後、「沈黙する声になってほしくない。“こちら側”で起きていないからといって、“あちら側”で起きていないことにはならない。一人ひとりが世界を、希望を視詰めてそれぞれが出来ることがある。チカラがあることを信じて種族としての希望を諦めないでほしいというメッセージを届けられたら、“アーティスト”としては賞を獲れるかどうかは関係なく、届けた上で、地続きに劇場を飛び出した先でも、作品が生きてゆくことを最重視していました。また公演を前に亡くなった父との“一人の子供”としての約束を果たしたかったんだと思います。」と話し、2025年3月に相棒となる振付家?ダンサーの浅川奏瑛さんとの「妖怪」を通して描く初共同クリエイションに向けて意気込みを語りました。「2人の活動の根幹にあるものは“平和への祈り”であり、芸術を通して人と人を繋げ、誰もが相互に人格と個性を尊重し支え合い、人々の多様な在り方を相互に認め合える全員参加型の社会をコンテンポラリーダンスを通じて築いていきたいと考えています。」

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在学生へメッセージ

 自身がどのような人で在るか/在りたいか 是非問い続けてみてください。私は桜美林大学が主催する「群読音楽劇 銀河鉄道の夜」にて振付?ダンスとして参加し、毎年新たな桜美林大学生たちとクリエイションを通して出会い、活動を続ける上での悩みや不安というリアルな声を聞いてきていました。 特にコロナ禍の社会に翻弄される学生たちの公演中止による悲痛な心の叫びを聞くたびに、どう寄り添ってあげられるか悩んできました。2023年度の自身の経験をもって、言えることが一つ増えました。それは、何があっても戦い続ける理由を、生き続ける理由を見つけなければならないんだと。どれだけ外的要因で打ちのめされたとしても、貴方自身の個性?能力?使命が消えるわけではないし、他でもない、自分自身がそれを忘れずに自分を信じ抜けるかどうか。“無難”な人生よりも、難が有る人生は“有難い”とも言いますしね。特にアーティストなら、全ての出来事が自らを育てるエサに出来るのですから。桜美林大学では自己探究?鍛錬?推し量る為の挑戦場が自身の選択でいくらでも切り開けます。ですが待っていては何も得ません。峠の上りも下りも面白おかしく、自身の最高地点を日々更新して、仲間たちと高め合ってください! “人道”を踏み外しさえしなければ、失敗は大学生のうちは“まだ”軽傷で済みます。我々人類は怪我を恐れていたら、自転車に乗るどころか立つことすら出来なかったことでしょう。どんどん怪我していきましょう!

※この取材は2024年4月に行われたものです。

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